JNCAP TEST REPORT
NCAPとは?テスト結果発表!:NCAP最新テスト結果Q&Aコーナー:よくわかるNCAPNCAP関連リンク集

Q&Aコーナー:よくわかるNCAP

JAF Mate本誌では、継続的にNCAPをレポートしてきました。その中で読者から寄せられたギモン・質問にお答えしていきます。

1 テストはどこで、どんなふうに実施されているの?

 JNCAPは、国土交通省と独立行政法人の自動車事故対策機構が協力して行っています。場所は、茨城県つくば市の(財)日本自動車研究所(JARI)という研究施設です。評価は、3つの衝突テストとブレーキテスト、さらに歩行者が衝突したときのダメージを図る歩行者頭部保護性能テストの計5分野で実施され、結果をまとめて小冊子(有料)やパンフレット(無料)、インターネットで一般に公表しています。

2 フルラップ前面衝突テストとオフセット前面衝突テスト、なんで衝突速度が違うんですか?

 オフセット前面衝突テストは、2000年度から日本のJNCAPに取り入れられた試験方法です。フルラップ前面衝突テストと合わせることで、より高度なレベルで安全性能を比較しようというものです。
 そのオフセットテストは、衝撃を吸収するアルミ製の突起物(ハニカムバリア)に衝突させるというテストの性質上、フルラップテストと同じ速度で衝突させると、フルラップテストより小さな衝突エネルギーになってしまいます。それを補い、55kmでの衝突と同等の衝突エネルギーを再現するために、時速64kmというテスト速度が算出されました。

3 側面衝突テストで、助手席にダミーを乗せないのはなぜですか?

 側面衝突テストでは、台車を衝突させるのはテスト車の運転席側です。衝突位置から遠い助手席は、運転席に受ける衝撃に比べて、より小さな衝撃値になりますので、あえてダミーを乗せません。助手席の総合成績の計算では、側面衝突テストの運転席の結果を流用することからもわかるように、助手席側の衝突であっても、この結果に大きな差異はありません。

4 実験用ダミーとはどんなものですか?

 実験用ダミーとは、衝突時にどのくらいの衝撃が乗員にかかるのかを計測する人形(ダミー)です。身長、体重のみならず、皮膚や首の構造など、人間に模して作られています。
 フルラップ、オフセット両前面衝突テストと側面衝突テストとでは、異なるダミーを用いています。前面衝突テストで用いるのはアメリカ製「ハイブリッドV」、側面衝突テストで用いるダミーは欧州製で「ユーロシッド」とそれぞれ名前がついています。
 テストでは、計測部位に内蔵されたセンサーで衝撃を計測し、車載の記録装置に結果を記録します。

5 本当に、これらの衝突テストで車の安全性能がわかるのですか?

 JNCAPの衝突テストは、前面全体を衝突させるフルラップテスト、前面の一部を衝突させるオフセットテスト、交差点などで側方から衝突される事故を想定した側面衝突テストと、3つの衝突パターンで安全性能を統合的に評価しています。そうすることで、多角的に自動車の安全性能を見極めようとしています。
 このように実施されるテストで、好成績を収めた車種は安全性能が高いと言っていいでしょう。さらに2004年度からは、自動車対歩行者の事故を想定して、自動車の歩行者保護性能テストを開始しました。自動車の安全性能ということを自動車の乗員だけ限定するのではなく、もっと広い意味での衝突安全を視野に入れていると捉えることができます。
 安全性能に限らず、自動車の性能は高い目標が設定されるものですが、それが達成されればさらに高い目標が生まれるものです。今回のテストで六つ星を取った車種も、現状に甘んじることなく、より高度で多角的な安全性を志向することを期待しています。

6 メーカーの安全な車作りに、どのように反映されているんですか?

 テスト結果が一般公開されていることが、メーカーの安全な車作りに大きく寄与していると言えるでしょう。SRSエアバッグやシートベルトプリテンショナーなどの安全装備の充実は、目覚しいものがあります。
また、計測数値を見ても、一つ一つの計測された傷害値は毎年、全般的に低くなってきています。安全ボディの設計などをメーカーに促している結果と受け取れます。

7 ブレーキ性能テストでは、停止までの距離が短いほうが安全なの?

 JNCAPのブレーキ性能テストは、時速100kmからブレーキを踏んで、止まるまでの距離を測定しています。公平を期するために、全車を同じテストドライバーがブレーキを踏んでいるので、この結果は最短の距離として考えるべきでしょう。また、装備しているタイヤも結果に影響してくることを忘れてはいけません。
 テスト車が止まるまでの距離は、短いに越したことはありません。危険の予知が遅れても、すぐに止まれたために衝突せずに済んだということもあり得ます。しかし、ブレーキ性能とはそれだけではないのです。
 実は、このブレーキテストでは、乾燥路面と濡れた路面でのテスト結果の差にも着目して欲しいものです。乾燥路面でいかに短い距離で止まれたとしても、濡れた路面で止まるまでに著しく距離を要してしまったら、安全とは言いがたいでしょう。逆に、乾燥路面で多少止まるまでに距離を要したとしても、濡れた路面でも同じくらいの安定したブレーキ力を発揮できれば、安全と言えます。
 止まるまでの距離に差の少ない車であれば、ドライバーは路面状況を考えずにブレーキを踏んでも高い安全度が期待できます。路面状況に関わらない、安定したブレーキ力というのも、JNCAPのブレーキテストでは確認しておきたいですね。

8 軽自動車って、危険だっていうけどホント?

 確かに、私たちは「軽自動車は危ない」ということをまことしやかに耳にする機会が多いかと思います。それでは、そのように言われるようになった論拠はどこにあると思いますか?
 まずひとつは、軽自動車は車重が軽いということ。対自動車の事故では、車重の軽い車がより甚大な傷害を被ります。それで「軽自動車は危ない」と言われるようになったとも思われます。
 もうひとつは、車内が狭いということ。車内が狭いと、事故で車体がつぶされたとき、圧迫されて生存空間が少なくなります。
 しかし、これらは現在の軽自動車に必ずしも当てはまるとは言えません。実際、軽自動車には車重の重い車もあるし、広い車内を持つ自動車もあります。軽自動車のテスト結果を見ても、昨年より今回のほうが、全体的な安全性能の向上が見られます。
 ところで近年、軽い自動車が一方的に犠牲になるような車作りでいいのか、という問題提起がなされています。軽い自動車を守れるような、大きな自動車と共存できるような理念、コンパティビリティ(共生)が自動車開発のキータームとなってきているのです。
 簡単に説明すると、大きな自動車はたくさんのエネルギーを持っているのだから、そのエネルギーを小さな自動車に伝えないよう柔らかく作り、小さな自動車は大きな自動車から衝突エネルギーを受けないよう固く作る、といったような試みです。また、車種が異なっても衝撃を吸収する部分を同じ高さに設計する、ということに取り組み始めた企業もあります。これなども、コンパティビリティのひとつの形と言えるでしょう。これは2004年度から開始された歩行者頭部保護性能テストの理念と通じるところがあります。

9 側面衝突のテスト結果で「横転あり」っていう車があるけど、それって救出性の評価は悪くなるのでしょうか?

 JNCAPでのテスト結果には、側面衝突テストに「横転あり」と記載のあるテスト車があります。側面衝突の衝撃で、テスト車が横転したことを示すものです。
 JNCAPは全ての衝突テストで、ドアの開扉性や救出性も記録しています。衝撃を受けてもドアが開けられるかどうかは、乗員の救命に関わってきます。側面衝突テストでは、運転席側のドアがつぶれて開けられないので、助手席側のドアが開くかどうかを試します。
 そこで、横転してしまったテスト車の開扉性はどうやって調べているのかというと、テストでは、横転したテスト車は起こしてから、助手席側のドアが開くかどうかを試験しています。JNCAPでの側面衝突テストは、側面衝突時の乗員保護性能を評価するもので、静止状態で実施しており、走行中の安定性を評価するものではないので、側面衝突時の横転は救出性の評価に影響していません。

10 テスト車の選定や入手方法が知りたいです

 テスト車は、車種別の販売実績がよい乗用車の中から選定します。入手方法ですが、自動車事故対策機構が任意の自動車ディーラーで抜き打ちで購入しています。購入するまでは、JNCAPのテスト用であることを告げることは決してありません。そして、納車される車のエアバッグやタイヤなどにマーキングをして、すり替えのできないようにしています。
 これとは別に、メーカー側からの希望でテストする場合があります。その場合、メーカーは自動車事故対策機構にその車種の購入費用を支払い、自動車事故対策機構が任意のディーラーで調達します。あくまでテストは抜き打ちであって、車種の指定はできても、「この車」というふうに、メーカーがテスト車を限定することはできません。
 これらテスト車の入手方法については、きちんとマニュアル化され、入手段階から同じ条件が遵守されています。
 また、2004年度からは商用車部門を設け、商用乗用車のなかから販売実績の高い車種を選んでテストを行うようになりました。

11 歩行者頭部保護性能テストで何がわかりますか?

 交通事故での死傷者の中で、歩行者が死傷する事故は全体の7%。ところが、歩行者が死亡に至るのは、交通事故での死者全体の28%にも達します(平成13年度)。クルマのボディをかたく作れば衝突安全性能は向上しますが、その分、歩行者が衝突したときに受けるダメージは大きなものになります。交通事故全体での死者数を少なくするには、衝突時に歩行者が死に至らないように、衝突するクルマをやわらかく作る必要があります。歩行者頭部保護性能テストは、このような趣旨に基づいて、自動車メーカーに努力を促す目的ではじめられました。
 歩行者頭部保護性能テストの結果は総合得点とそれに基づくレベル評価で表されます。レベルは1〜5まで、数字が大きくなるほど、"歩行者にやさしい車"であることを意味します。より詳しい解説はこちらのページをご覧ください。

12 商用車部門を設けてテストをする意義は?

仕事であちこちを走り回る商用車は、一般乗用車よりも走行時間が長いと言えます。必然的に事故に遭遇する比率も高くなるといえ、商用車にこそこのようなテストが求められるとも言えます。従来、JNCAPでは、販売実績に基づいてテスト対象の車種を選定してきました。以前にも商用車がテストされたことはありますが、乗用車全体の販売数に埋もれてしまい、その数は少ないものでした。新たに商用車部門を設けることで、利用頻度の高い商用車種をテストできることとなったのです。




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