JNCAP TEST REPORT
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NCAPとは?JNCAPに商用車部門が新設

オフセット前面衝突試験で考える 商用車の衝突安全

 今年から自動車アセスメント(JNCAP)に商用車部門が設けられた。商用車のオフセット前面衝突試験の様子をレポート。



オフセット衝突試験の内容とそのねらい

反対の車線から突然対向車が飛び出して来たら、あなたはどのように反応するだろうか。急ブレーキを踏み、ハンドルを切って懸命に回避しようとするだろう。それでも対向車を避けきれなかったら・・・。オフセット衝突といわれるこのような事故では、衝突のエネルギーを吸収しきれず、重大事故に至ってしまう可能性が高い。(財)交通事故総合分析センターによると、シートベルトを着用していたのにもかかわらず、重傷以上のケガを負ってしまう事故の約半数がオフセット衝突によるものだという。


←アルミハニカムを装着したバリア(カベ)にテスト車を衝突させた瞬間。衝突速度は64km/h。 ←衝突後、車は1/4回転するように吹き飛ばされる。実際のオフセット衝突でもほぼこのような挙動になる。


このような事故を想定した衝突テストが、JNCAP(自動車アセスメント)で行われているオフセット前面衝突試験(以下オフセット試験)だ。テスト車の運転席・助手席にダミーを乗せ、アルミハニカムを装着したバリア(カベ)に64km/hで運転席側の前面40%を衝突させて、ダミーが受けた傷害値や車体変形を調べるというもの。バリアに装着されたアルミハニカムは、衝突する相手の車両を想定してやわらかく作られている。
車体の全てをコンクリート製のバリアに衝突させるフルラップ前面衝突試験と比べ、オフセット試験ではアルミハニカムが衝撃を吸収してくれる反面、車体の一部分で衝撃を受けなければならないという厳しい条件も含まれている。フルラップテストでは車体前部を柔らかくして衝撃を緩衝することで好成績が得られるが、そのままではオフセットテストで衝撃を吸収しきれず、変形がキャビンにまで至ってしまうため、高い評価が得られない。オフセットテストにはボディを硬めに設計することが求められるのだ。この二律背反する試験を高いレベルでクリアするため、メーカーは年間およそ数百台から千台ものテスト車を衝突試験にかけているという。


コストパフォーマンスが求められる商用車の衝突安全性能

今回公開されたオフセット試験では、トヨタの商用バン・プロボックスがテスト車となった。JNCAPでは、過去にもタウンエースバン(トヨタ)、ADバン(日産)などの商用車もテストされているが、商用車でオフセットテストまで受けるのは今回が初めて。なお、商用車部門ではプロボックスの他にもADバンが試験対象車種となっている。
サイレンが鳴って試験開始のカウントダウンが始まると、周囲に緊張が走った。カウントがゼロになると、息を呑んだ会場に牽引用のワイヤーが巻き取られる音だけが聞こえ始めた。白のプロボックスがバリアに向かって加速を始めた。大音響とともにバリアに衝突したプロボックスはつんのめるように一瞬浮き上がり、回転しながら横に吹っ飛んだ。開け放たれた運転席と助手席の窓からはエアバッグを膨らませたガスが煙となってたなびいていた。
テストの結果は発表まで待たなければならないが、コストパフォーマンスの高さが求められる商用車でも、高い衝突安全性能を備えているという印象を受けた。車体前部の変形は激しいものの、キャビン部分の変形は少なく、いちばん損傷が激しかった運転席側のドアも片手で開けることができた。救出性も良好だったようだ。仕事であちこちを走り回る商用車にこそ、このようなテストが求められるのかも知れない。



←衝突の勢いでめくれ上がったアルミハニカム。文字通り、アルミ製のハニカム(蜂の巣)構造になっている。 ←バリアに装着されたアルミハニカム。テスト前に、自動車メーカーの担当者が、規定通りにアルミハニカムが設置されていることを確認する。


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