eJAFMATE特集クリーンビークル・ニューズ: ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、CNG車などのクリーンビークルについてのトピック集

月額600ドルで手にする未来車生活

ホンダの新型燃料電池車、来夏にリース開始

未来車と呼ぶにふさわしい「FCX クラリティ」

現在開催中の米ロサンゼルスモーターショーで発表されたホンダの新型燃料電池車「FCX クラリティ」が、来夏に北米カリフォルニア州でリース販売される。ホンダはすでに二年前から初代「FCX」を一般向けにリース販売しており、燃料電池車としては二車種目の“市販化”となる。

最近はもう燃料電池車の“市販化”と聞いても目新しさはないが、車種が「FCX クラリティ」となるとちょっと話は違ってくる。というのも、コンパクトカークラスの初代「FCX」に比べ、「FCX クラリティ」は3ナンバークラスのセダン、しかも“未来車”という表現がピッタリのおもしろさを持っている。それが三年契約で月額600ドル(約66,000円)のリース料で乗り回せるとなると、エコカーに思い入れがなくても魅了される人が出てきそうだからだ。

ボディデザインは「FCX CONCEPT」のライン取りからケバケバしさをなくし、オーソドックスに仕上げている。一方で、ボディカラーはガーネット色を継承、高級感のある雰囲気を醸し出した。ハッチバックタイプのリアには、中から見やすく、外から見えにくい視界制御機能付のエクストラウインドウを採用している。インテリアは、非エンジン車ならではのゆったり感。左右独立型の温度調節機構付フロントシート、表皮には植物由来のバイオファブリックを使うなど、快適さとエコロジーの両立を表現している。

米カリフォルニアで実証実験を開始したホンダの第四世代型家庭用水素供給システム(左)と「FCX クラリティ」(右)

気になるのは、やはり実際に“使えるのか”といったところ。この点は、クルマとしてはなんら問題なさそうだ。航続距離は、新型の燃料電池スタックにより、およそ500kmにまで延びているといい、馬力もリチウムイオン電池を搭載してモーター駆動を強化したことで、2.4〜3.0リッター車並みの加速性能を実現しているという。

問題となる燃料(水素)の供給については、ガソリン並みにはほど遠いものの、すでにカリフォルニアでは30カ所以上のスタンドが開設されて利用環境は整いつつある。連邦政府と州政府では、2010年までにカリフォルニア全域をカバーできるスタンドのネットワークを完成させるとしている。また、ホンダ自身も、燃料電池コージェネレーションシステムを利用する家庭用の水素供給システムの実証実験を現地で行っており、これが実用化されれば、各家庭で都市ガス(天然ガス)を改質しての水素供給が可能となる。そうなれば、燃料電池車普及の最大の障害とされるインフラの問題は解決することとなる。これに加え、ガソリンと比較した場合の水素の割高感も、最近の原油高騰により薄らいでいる。もし1バレル=100ドルの水準が続くとなると、燃費や税制の点で、水素に有利さが出てくることなる。 このようにカリフォルニアにおける燃料電池車を取り巻く環境を考えてみると、今回のニュースは結構インパクトのあることのようにも思えてくる。燃料電池車を“過ぎた夢”と決めつけるのはまだ早いかもしれない。エコカーファンにとって来夏の「FCX クラリティ」の“市販化”は、ちょっと目が離せないイベントになりそうだ。

(2007年11月掲載)