eJAFMATE特集クリーンビークル・ニューズ: ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、CNG車などのクリーンビークルについてのトピック集

本当に千里も駆けることができる!?

GMエコカーコンセプト「シボレー・ボルト」の実像

(写真=ゼネラルモータース)

今年のデトロイトモーターショー(北米国際自動車ショー)で、米ゼネラルモーターズ(GM)から特徴あるエコカーのコセプトモデルが発表された。バッテリーで駆動する4シーターの電気自動車「シボレー・ボルト」だ。

シボレー・ボルトは、リチウムイオン電池を搭載し、電気モーターで走行する電気自動車だ。一回の充電で走行できる距離は、通常の市街地走行で約64.4kmという。

シボレー・ボルトがおもしろいのは、1リッター3気筒のターボチャージャー・ガソリンエンジンを搭載している点だ。バッテリーの電気がなくなれば、このガソリンエンジンを駆動させて走行できる。ただ、このエンジンはホイールを回転させる役目は担わない。あくまでバッテリーへの電力供給をするためだけにあり、ホイールを回転させるのはあくまで電気モーターだ。こう聞くと、シボレー・ボルトは、プラグインを備えた“シリーズ式ハイブリッド”と言えそうだが…。

(写真=ゼネラルモータース)

(写真=ゼネラルモータース)

約55リットルのタンクを搭載しており、エンジンでの燃焼を電力に変換することで、航続距離は最長で約1030kmまで延びるという。燃費はリッターあたり約21kmだ。電気自動車の最大の課題は航続距離。“千里”も駆けることができる電気自動車(ハイブリッド車)とはまさに夢の乗り物である。ただ、話はそう単純ではない。

シボレー・ボルトが惜しいのは、最長で約1030kmもの航続距離を“連続走行”できないことにある。そもそも、バッテリーの満充電に約6時間がかかるということは、単純に考えて時速64.4kmの定速走行で1時間の走行が可能ということになるから、1/6の充電速度しかないということになる。性能的にエンジンでの発電が走行中の電力消費に追いつかないのだ。現実には、シボレー・ボルトは充電走行を考慮していない。すなわち、バッテリーが切れたら停車して、エンジンを廻して走れるようになるまで充電する必要がある。だから、シボレー・ボルトは、シリーズ式ハイブリッドではないし、バッテリーが切れたら補助動力で走ることができるわけでもなく、あくまで“内燃式充電器付”電気自動車と呼ぶべきものなのである。

搭載するエンジンは、ガソリンだけでなく、エタノールを85%混入する「E85」にも対応するなど、ちょっとしたアピールポイントはあるが、次世代自動車としての新しい境地を開くほどのインパクトは残念ながらない。車格やシステムが違うので単純に比較はできないが、三菱の電気自動車「iMiEV」だと、家庭用のプラグインを使った5時間80%充電で約100kmは走ることができる(→該当頁)。エナジーCS社の改造キットを使えば、ハイブリッド車プリウスが、航続距離80km、時速110kmでのEV走行が可能な「プラグイン・プリウス」となる(→該当頁)。いずれもバッテリーに高性能なリチウムイオン電池を使用している。

図らずもシボレー・ボルトが発表されて間もない先月末、ロイター通信は、GMら米自動車メーカーが、バッテリー技術について一層の支援を政府に求める見通しであると報じている。次世代自動車の鍵がバッテリー開発にあることを赤裸々に示すこととなった

(2007年2月掲載)