eJAFMATE特集クリーンビークル・ニューズ: ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車、CNG車などのクリーンビークルについてのトピック集

量産化を視野に入れたというGMのシークウェルが登場

「シークウェル」が感じさせる燃料電池車のゆくえ

デトロイトショーで発表されたGMの燃料電池コンセプトモデル「シークウェル」。

キャデラックSRXと同じ大きさのSUVタイプの車体を搭載した。

シークウェルのプラットフォーム。ドライビング・バイ・ワイヤを駆使することで、スケートボードのような平面な車軸に走行に必要な燃料電池や水素ボンベ、モーターなどを全て収めることができた。

フラットなプラットフォームによって、前作ハイ・ワイヤと同じく車内レイアウトの自由度も大幅に高まっている。

走行時のシステムの動きをイメージしたもの。中央の水素ボンベから送られた水素を前方の燃料電池で改質して電気を発生させ、それを前輪と後輪、場合によっては後方のバッテリーにも送電する。

(写真提供=ゼネラルモータース)

GM(ゼネラルモータース)は燃料電池車のコンセプトモデルをデトロイトモーターショー(北米国際自動車ショー)で披露した。「シークウェル (Sequel)」だ。披露されたシークウェルは、ドライビング・バイ・ワイヤを駆使したプラットフォームに、キャデラックSRXと同じ大きさのSUVタイプの車体を搭載したもの。2002年9月に発表された燃料電池車「ハイ・ワイヤ (Hy-wire)」の後継に位置づけられるが、シークウェルは、「気軽に、というにはいかないが、十分に可能な」量産を視野に入れたコンセプトモデルという。

車体には700気圧の水素貯蔵タンクを3本、プラットフォーム中央に設置し、走行距離を300マイル(約480km)にのばした。また、パワートレインも合計で110kWに達する電気モーターの推進力によって、最高速度は150km/h、0-100km/h加速は約10秒に強化されている。

このような性能面で実用性を高めたのは評価するに値するものだ。にもかかわらず、人々にインパクトをあまり与えられなかったようだ。前作ハイ・ワイヤの斬新さにびっくりし過ぎたのもあるが、GM自身がシークウェルを量産化を視野に入れたモデルと言い切ったことで、かえって手詰まり感を与える皮肉な結果になったようだ。なぜなら、本当にシークウェルが量産化を視野に入れたものなら、燃料電池車を商業化するにあたって車両分野での進歩の必要はなくなる一方で、解決が必要な課題はインフラなど車両の外に求められる。しかもその課題にはなんら解決の道筋がついていないのだ。

かつて自動車業界では、2010年には燃料電池車を商業化できると言われていたが、今では(可能であっても)数十年先と言われている。燃料電池のコスト低減やインフラ整備の問題などが完全に不透明だからだ。今後GMは、シークウェルの実車のみならず、プラットフォームの汎用性を生かして複数の燃料電池車ラインナップも披露していくかもしれないが、量産化に対応できるレベルのプラットフォームを作り出したということは、新しい開発の必要性も薄くする。シークウェルは「量産化」の文字を掲げることで、かえってシークウェル後への期待も生まないという皮肉な結果を生んだと言えないだろうか。シークウェルが“新しい燃料電池車”の最後になるとは言い過ぎかもしれないが、燃料電池車に夢を求める時代がすぎたことを人々に印象づけたとは言えそうだ。それはGMがダイムラー・クライスラーと組んで本格参入するハイブリッド車の“元気さ”と比較してより強く印象づけられるだろう。

(2005年1月掲載)