ガソリン価格高騰でトヨタ「プリウス」の人気が過熱
最近の北米ハイブリッド車事情
ガソリン価格が高騰するなか、低燃費を誇るトヨタのハイブリッド車「プリウス」の人気が過熱している。今年1月に北米カーオブザイヤーを受賞したプリウスは米政府の税額控除の効果もあって順調に売上を伸ばし、今年1月〜4月末までの北米での販売台数はおよそ1万4千台。米国ではすでに品薄の状態が続いており、納車まで平均3ヶ月〜6ヶ月待ちの状態という。そして最近のガソリン価格高騰がこれに拍車をかけている。
イラク戦争後の原油価格上昇に伴い、米国におけるガソリン価格は過去最高の1ガロン2ドル(1リッター約58円)に高騰。車社会アメリカの家計を圧迫している。そんななか、低燃費で高性能のプリウスの人気が一気に過熱した。北米でのプリウスの新車販売価格はおよそ2万〜2万6千ドル。しかし販売店では数千ドル上乗せしたプレミア価格での販売をはじめるところが出てきており、中古車市場では、程度の良い車が新車価格を上回る値段で取引されはじめている。米インターネットオークション大手のeBayでは、走行距離1000km程度の中古車で、2万4千〜2万6千ドル程度で取引が行われている。
一方、ホンダのハイブリッド車「シビック」にも人気が集まっている。ガソリン価格の高騰にあわせて販売数が増え、5月には3千台の大台を突破。前年同月比184%増という大幅な伸びを記録している。1ヶ月程度で納車可能ということもあり、品薄のプリウスから移行してきた需要も販売数増加に寄与しているようだ。
新車価格で標準的なガソリン車よりも3千ドル〜5千ドル程度高いハイブリッド車。米国での平均的なドライバーの場合、燃費の差によって価格差を取り戻すにはおよそ7年〜12年かかる。実際には購入時に2千ドルの税額控除が受けられるから、その価格差は3年〜7年で回収できる計算になる。しかもガソリン価格は高騰して日々の家計に響き、来年には税額控除の額が5百ドル減額される予定という。このような状況からすると、今回の"プリウス騒動"に見られる好調なハイブリッド車の売れ行きは、今まで環境への意識が高くてクリーンな車に乗りたいと思っていた人たちだけの購入から、実益重視の消費者層に裾野が広がりはじめた動きとも考えられる。専門家は、今後原油価格は緩やかに下落を続け、ガソリン価格も7月には上昇がとまり、徐々に適正価格に収束していくという見方をしている。しかし、消費者にとっては最近のガソリン価格高騰が一時的なものではなく、先行き不透明な世界情勢にこれからもガソリン価格が左右されるのではないかという不安があるようだ。
思わぬ追い風を受けた北米のハイブリッド車市場。トヨタと技術提携を結んだフォードは、2007年までにハイブリッド車の年間販売台数を10万台にまで引き上げる目標を掲げている。また同じくトヨタと技術提携している日産も、2006年に「アルティマ ハイブリッド」投入を予定している。そして、"一人勝ち"のトヨタ自身、北米市場で年間40万台以上の販売実績のある「カムリ」のハイブリッド車を2006年にも投入する。トヨタはカムリについて、できるかぎりガソリン車との価格差を縮めることで、一気に普及にもっていきたい考えだ。数年後にふり返ってみたとき、今年2004年は、北米でのハイブリッド元年になる可能性がありそうだ。
(2004年6月掲載)