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国が大型トラックの安全対策についてシンポジウムを開催


平成19年10月30日、幕張メッセで開催中の第40回東京モーターショーにおいて、国土交通省の主催による「自動車安全シンポジウム」が開かれた。同シンポジウムは、交通事故の抑制と自動車の安全対策に関する国の施策に、有識者の意見を反映させることを目的に公開で行われている会議。平成12年から毎年開催され、ASV(先進安全技術)の実用化など成果を上げてきた。8回目の開催となる今年のメインテーマは大型車の安全対策である。


「大型車のASV化」を推進
自動車の安全対策にはふたつの方向性がある。ひとつは乗員の安全を確保することであり、もうひとつはコンパティビリティ(他車・人に対する危害軽減)を確保することである。大型車がメインテーマとされた今回の会議は基本的には後者の視点。ところが、大型車はその重量や大きさから、車両レベルでコンパティビリティを実現することが難しい。そこで、事故の発生を未然に防ぐことが何よりも求められる。

自動車安全シンポジウムでは当初より大型車の安全対策についても議題として取り上げ、第2回目の会議においては、速度を抑制するスピードリミッター装着について検討、2年後の平成15年には装着の義務化という形で結実した。これにより、大型車の高速道路における死亡事故件数は義務化前に比べて40%低減されたという。とはいえ、スピードリミッターは単に速度を抑制するもので、装着も比較的容易、いわば“守り”の対策だ。今回の会議では、より積極的な“攻め”の対策、すなわち、大型車に対してもIT技術によって高度安全化を図る「大型車のASV化」を推進していくことが確認された。


パネルディスカッションでは「大型トラックの安全対策」をテーマに活発な議論が交わされた。

東京モーターショーに日野自動車が出展したASVコンセプト「プロフィラ・ASVトラクター」


早急に普及が求められる「被害軽減ブレーキ」
大型車のASV技術としては、走行する車線を基準にドライバーの注意力を自動で判断して様々な注意を促す「運転注意力モニター」、急なカーブでの脱線や横転を防ぐ「車両挙動総合制御」、高速道路において前方との車間距離を自動で制御する「高速ACC」、衝突の危険があると自動で速度を抑制する「被害軽減ブレーキ」などがある。なかでも「被害軽減ブレーキ」については、導入も比較的容易で有用性が高く評価されている。

「被害軽減ブレーキ」とは、前方の障害物に自車が衝突する恐れがある時に運転者に向けてブレーキを促す警報を鳴らし、それでも衝突が避けられないと判断される場合は自動的にブレーキをかける装置。これにより衝突の際の速度を20km/h程、下げることができ、被害を軽減することができるという。大型車の追突が原因で死亡事故となる危険性は、乗用車の場合と比べておよそ8倍と高いが、もし全ての大型車がこの「被害軽減ブレーキ」を導入したならば、死亡事故の割合を9割も低減できるという。JAFMATE社が行ったアンケート調査では、普通車ドライバー、大型車ドライバー双方ともに8割の人が導入に賛成している。しかし、国は2年前から助成制度を設けているが、普及はまだ進んでいないのが現状。普及を推進するための施策の強化が求められる。


飲酒運転と運転マナーの問題についても検討
「大型車のASV化」は車両レベルの話であり、いわば安全対策の片翼。今回の会議では、大型車を取り巻く環境をどう変えていくかについても幅広い視点から論じられた。とりわけ問題なのが商用大型トラックのドライバーによる飲酒運転と運転マナーの問題。飲酒運転防止対策については、呼気などでアルコール濃度を測定し、アルコールが検知された場合にはエンジンの始動を停止する「アルコールインターロック」が有効と考えられているが、実際に導入するとなると、技術的にも制度上でも多くの課題があることが報告された。また、運転マナーについては、運送事業者がドライブレコーダーを各車両に設置、そこから得られる様々な情報を分析してドライバーの教育に活かすことで運転マナーや安全の向上を図る施策などが報告された。その一方で、普通車ドライバーと大型車ドライバーへのアンケート調査を元に、走行する目的も挙動も異なる両者が混在して走る状況を、運転マナーの向上を図るだけで解決しようとするには限界があることも指摘された。普通車と大型車を分離する、例えば、高速道路における走行レーン分けを徹底するなどの施策の必要性が指摘された。

(2007年11月 6日 編集部 徳永智)

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