
“痛車(いたしゃ)”呼ばれるクルマをご存知だろうか。フェラーリ、アルファロメオ、フィアット、マセラティなどなど、魅力的なイタリア製のクルマたちを広く“イタ車”と呼んだりするが、このように漢字で表記する場合はちょっと(というか、だいぶ)違う。車体に漫画・アニメやゲームなどのキャラクターをあしらった、見た目がちょっと(というか、かなり)“痛々しい”カスタムカーたち、それが痛車なのである。
見た目こそ奇抜なものが多いが、基本的には車検も通るようなカスタムを施し、あくまでも法規の範囲内で自分の好きなことを目いっぱい楽しみたい、アピールしたい、という姿勢が見て取れるのも、この痛車オーナーたちに共通する特性といえる。

痛車1000台がお台場にズラリ!壮観。
その痛車の専門誌「痛車グラフィックス」が主催する野外イベント「痛Gふぇすた in お台場」が、東京のお台場で開催された。当日は全国から痛車のオーナーやファンが大集結。初夏の強い日差しのなか、1000台もの痛車たちが会場を埋め尽くし、一種独特な輝きを放っていた。

会場には“コスプレイヤー”の姿も多く見られた。
漫画・アニメやゲームのキャラクターに対する愛を、これでもかと注がれた痛車たち。なかにはベースに高級車や希少車を使ったものも少なくない。傍から見れば「なんともったいない!」と声を上げてしまいそうだが、ほとんどは専用のステッカーによるもので、キレイに剥がすことが可能。ということで、その辺はさほど心配せず、クルマから放たれる情熱や不思議なこだわりを前に、素直に圧倒されるのが痛車イベントの楽しみ方だろう。

宮城から駆けつけたタクシー運転手の男性。写真の掲載を確認したところ
「自分はもういろんなところで取り上げられてますから、ご自由にどうぞ」
と実にすがすがしい回答をいただいた。
宮城県白石市からやってきたタクシー運転手の男性は、なんと普段からこの痛車で営業中。しかも個人営業ではなく、正式に会社の了承を得てのこと(営業中はきちんとした制服を着用されているそうなので、その点はご心配なく)。「理解のある会社に感謝してます」とのことだが、今や白石市のちょっとした名物タクシーでもあり、地元の盛り上げにも一役かっている。宮城ということで「白石市は内陸にあるから、直接の被害は少なかったものの、自分も直後から被災地を走ってます。それは大変です」と先の震災の様子を語ってくれた。また、ステッカーに東北を応援するバージョンを用意し、震災の影響で3月から延期となっていたこのイベントにもしっかりと駆けつけたその姿は、周囲に謎の感動を与えるのだった。
会場には一般のほか、メーカーなどの法人ブースも多く、痛車カスタムの実演や、関連グッズの販売、震災チャリティーイベントなどが行われ、いずれも大盛況。会場中央に設けられたメインステージでの歌やダンス、トークショーにも多くの人が足を止めていた。

長引く不景気や若者のクルマ離れなどもあって、なにかと元気の無さが指摘される自動車ホビー界。そのなかにあって痛車は、インターネットを中心に、現在進行形のエネルギーを感じさせているジャンルであることは間違いない。

